動画撮影には、NDフィルターがあったほうがいい。
カメラ・動画撮影が趣味の人は、このような声を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
NDフィルターは、レンズの正面につけるサングラスのようなものです。
レンズに入る光の量を抑え、動画の明るさを一定に保つときに使用します。
NDフィルターをうまく活用すれば、ボケ感を活かした普段とは違う動画を撮影可能です。
この記事では、動画撮影にNDフィルターが必要な理由を解説したうえで、おすすめのNDフィルターも紹介します。
動画撮影をレベルアップしていきたい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
動画を撮影するならNDフィルターがあると便利ですよ。
NDフィルターって何なのか?
NDフィルターの役割や、使い方が分からない人もいるでしょう。
ここでは、NDフィルターとは何なのか詳しく解説します。
NDフィルターの役割
NDフィルターは、カメラに取り込む光の量を調節する役割があるアイテムです。
人間でいうと、サングラスと同じ役割があります。
人間も日中、光が多くてまぶしい時間帯はサングラスで調節することがありますよね。
カメラも同様で、光が多すぎるときはNDフィルターで調節します。
例えば、下記のような商品がNDフィルターです。
NDフィルターの役割は、カメラに取り込む光の量を調節することと覚えておくといいですね。
NDフィルターはレンズのサングラスですね。
NDフィルターの濃度
NDフィルターは濃度に差があり、どれくらい光を抑えるかで濃度を変える必要があります。
NDフィルターの濃度は、下記のように表記されます。
【濃度】 | 光量 | F値 |
ND2 | 1/2 | 1段分 |
ND4 | 1/4 | 2段分 |
ND8 | 1/8 | 3段分 |
ND16 | 1/16 | 4段分 |
ND32 | 1/32 | 5段分 |
ND64 | 1/64 | 6段分 |
このように、NDフィルターには濃度の種類がたくさんあります。
NDのあとに続く数字が大きいほど、カメラに入る光の量を減らすことが可能です。
ND2・4・8といった比較的薄めのNDフィルターは、F値を大きくして撮影するときに使うことが多いです。
ND2はかなり色が薄いので、つけているかどうか分からないくらい。
ND4・ND8もそこまで濃くないので、動画撮影時はつけっぱなしな人もいますね。
ND16・ND32・ND64くらいになるとかなり濃いです。
晴れた日中にF値1.8とかのレンズで撮影するときに使います。
これ以外にも、ND500・ND1000などもありますね。
これは主に写真撮影で使うNDフィルター。
滝や川の流れを、糸のように撮影した写真ありますよね。
あれば、ND1000など濃い目のNDフィルターを使っています。
基本的に、動画撮影で使用するのはND64くらいまで。
それ以上は、あまり使用しません。
写真を撮る人は、それ以上の濃さを使う機会もあるので、別途検討してみてください。
動画撮影ならND64まであれば問題ないですね。
NDフィルターの種類
NDフィルターには、固定式・可変式の2種類があります。
固定式はND2・ND4といったように、濃度が固定されたNDフィルターです。
一方、可変式はND2-ND32といったように、状況によって濃度を変更できるNDフィルターをいいます。
固定式フィルターの特徴 | 可変式フィルターの特徴 |
・可変式より色ムラが出にくい ・使用状況に合わせて複数枚必要 | ・1枚で状況に合わせて撮影できる ・色ムラが出るケースもある |
固定式フィルターの場合、濃度に合わせて複数枚フィルターを用意しないといけないため、費用がけっこうかかります。
1枚当たりは約1,000~5,000円程度ですが、何枚も買うとコストはかかりますね。
ただ、固定式NDフィルターはフィルターが1枚で構成されているので、色ムラが出にくいです。
利便性・コストより、動画の画質を重視したい人は固定式NDフィルターが向いています。
きれいさを重視するなら固定式がおすすめです。
一方、可変式フィルターはNDフィルターが複数枚まとまっているので、1枚あればさまざまな場面で濃さを調整可能です。
1枚当たりの価格は固定式NDフィルターより高いですが、複数枚買うことを考えればお得ですね。
約1万~3万円くらいで販売されています。
ただ、可変式NDフィルターはフィルターを複数枚重ねていることから、色ムラが発生しやすいです。
とくに安いNDフィルターや、濃度の上限ギリギリで撮影すると色ムラが大きく出ることもあります。
とはいえ、動画撮影ではそこまで濃いNDフィルターは必要ないため、安いNDフィルターでなければ問題なく使用できる場合も多いです。
このように、NDフィルターには固定式・可変式があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
動画撮影では可変式がよく使用されますが、僕自身は固定式を愛用中です。
用途や撮影場所などによって最適なNDフィルターは異なるので、自分に合うフィルターを選択してくださいね。
NDフィルターの使い方
NDフィルターは、レンズの前に装着して使用します。
そのため、基本的にレンズの大きさと同じフィルター径のNDフィルターが必要です。
レンズを見てもらうと分かるのですが、レンズには「Φ58mm」といったフィルター径を示す記号が記載されています。
NDフィルターをはじめとしてフィルターをつけるには、フィルター径にあったサイズを選択しなければいけません。
そのため、基本は自分が持っているレンズにあったNDフィルターを選びましょう。
ちなみに、NDフィルターは重ねつけOKです。
例えば、ND2+ND8=ND16となります。
計算方法は、掛け算なので簡単ですね。
重ねづけするときは2枚までにし、数字が大きい方からつけるのがポイント。
そうすることで、フレアやゴーストといわれる映り込みを減らせます。
※追伸※
固定式NDフィルターの場合、レンズに合わせて何枚も買うのは費用がかかりますよね。
そんなときは、ステップアップリングが便利です。
ステップアップリングを使えば、サイズ違いのレンズにNDフィルターを装着できます。
自分が持っているレンズ・もしくは買う可能性があるレンズの最大サイズにあわせて、大きめのフィルターを購入。
購入したフィルター径に合うステップアップリングを購入すれば、OKです。
58mm→77mmというように、サイズアップして使えます。
複数枚がセットになった商品もあるので、ぜひチェックしてみてください。
動画撮影にNDフィルターが必要な理由
動画撮影でNDフィルターが必要な理由は、シャッタースピードを変えることができないからです。
動画を撮影するとき、光の取り込み具合は下記の3つの要素で決まります。
・シャッタースピード
・F値
・ISO感度
仮にF値は1.8、ISO感度は100もしくは200など最低値に設定したとします。
すると、光の量を調節できるのは、シャッタースピードしかないですよね。
写真撮影であれば、シャッタースピードを上げて白飛びを防ぐことも可能です。
ただ、動画ではシャッタースピードを一定にしないと、パラパラ漫画のような動画やカクカクで見にくい動画になってしまいます。
そのため、基本的に動画撮影時はシャッタースピードを1/60・1/120で撮影します。
ただ、これだと上記の写真のように白飛びしてしまいます。
そこで、NDフィルターの出番です。
白飛びする状態でNDフィルターをつけることで、取り込む光の量を調節し、ちょうどいい色合いで撮影できます。
動画を撮影するとき、背景がボケた映像はかっこいいですよね。
日中でも背景がボケた動画を撮影するには、NDフィルターの活用が必要なのです。
動画撮影にはNDフィルターは欠かせませんね。
動画撮影におすすめなNDフィルター【可変式】
動画撮影で室内と野外を移動するときなど、NDフィルターをつけかえる暇はないですよね。
そんなときは、可変式のNDフィルターがおすすめです。
ここでは、動画撮影におすすめのNDフィルターを3つ紹介します。
- K&F Concept ND2-ND32
- KANI NDフィルター ND2-64
- NiSi TRUE COLOR VARIO 1-5stops ND2-32
K&F Concept ND2-ND32
コスパがいい使える可変式NDフィルターがほしいなら、「K&F Concept ND2-ND32」がおすすめです。
K&F Conceptは、カメラアクセサリーを販売している中国メーカー。
中国製品は悪かろう安かろうといわれることもありますが、最近では安くても十分使える製品もたくさん販売されています。
「K&F Concept ND2-ND32」もその1つで、可変式NDフィルターのなかではコスパ抜群です。
もちろん、高級NDフィルターにはかないませんが、少しずつ製品が改良されています。
最新のものだと色ムラが起こりにくく、撮影した動画の色味が変化しにくくなってきました。
価格も約1万円あれば購入可能。
はじめてNDフィルターを使う人や、あまり費用をかけたくない人におすすめの商品です。
予算が少ない人の味方ですね。
K&F Conceptの可変式NDフィルターには、ND8-ND128という濃いめのフィルターもあります。
F値の小さいレンズを使う人や、逆光でよく使うから濃いめがほしい人は、このモデルもおすすめです。
KANI NDフィルター ND2-64
価格と品質のバランスがいいフィルターがいいなら、「KANI NDフィルター ND2-64」がおすすめです。
価格は先ほど紹介したK&F Conceptより少し高いか、同じくらい。
ただ、YouTubeのレビューやブログ記事などを見ると、色ムラや色の変化はKANIの方が少なく感じました。
価格が高ければ色変化が少ないのは分かりますが、これくらいの値段で色の変化が少ないのは魅力ですね。
KANIに関しては、角型NDフィルターも販売しており、NDフィルターに力を入れている印象があります。
今後も少しずつ改良品が発売されるかもしれないので、楽しみですね。
NiSi TRUE COLOR VARIO 1-5stops ND2-32
価格が高くても色変化が少ないNDフィルターがいいなら、「NiSi TRUE COLOR VARIO 1-5stops ND2-32」がおすすめです。
NiSiのNDフィルターは、Amazon価格で2万円台。
可変式とはいえ、NDフィルターのなかでは高級な商品です。
その分、製品の質は高いです。
たとえば、色ムラや色変化は少なく、格安NDフィルターと比較すると精度が高いですね。
また、細かいところですが、NDフィルターを切り替える用の取っ手がついています。
NDフィルターを回すとき、フィルターを触ってしまい指紋や汚れがつくことも。
その点、取っ手があれば簡単に操作できます。
できるだけいい可変式NDフィルターがほしいなら、「NiSi TRUE COLOR VARIO 1-5stops ND2-32」がおすすめです。
動画撮影におすすめなNDフィルター【固定式】
ここまで、可変式NDフィルターを紹介しましたが、実は僕自身は固定式NDフィルターを使っています。
その理由は、下記のとおりです。
- 基本的にあまり動きのない自然風景を撮影すること。
- NDフィルターをつけかえる時間があること。
- 自然の色合いを重視したいこと。
ここでは、自分が使っているNDフィルター・検討したことがあるNDフィルターを3つ紹介します。
ちなみに、固定NDフィルターを使うなら、「Kenko製品」がおすすめです。
ぜひ、チェックしてくださいね。
Kenko PRO1D プロND (W) シリーズ
Kenkoの固定NDフィルターのなかで、安さを重視するなら「Kenko PRO1D プロND(W)シリーズ」がおすすめです。
このNDフィルターは、KenkoのNDフィルターでは安いモデル。
ND4・ND8・ND16モデルがあります。
ただ、透過性の高い薄型フィルターを採用しているため、広角レンズでもケラレが発生しにくくできています。
また、色味の変化もでにくいので、とても使いやすいです。
もっと性能が高いNDフィルターもありますが、できるだけいい商品で安いものがいい人にはおすすめできます。
Kenko NDフィルター PRO1D Lotus シリーズ
価格と性能のバランスを重視するなら、「Kenko NDフィルター PRO1D Lotus シリーズ」がおすすめです。
PRO1D Lotus シリーズはND4・ND8・ND16があり、なんといっても撥水・撥油加工が特徴です。
NDフィルターは、交換時に手で触ってしまうこともあります。
その点、撥水・撥油加工があれば、指紋や水滴などがつきにくいです。
海や滝など、水辺で撮影する人にも向いていますね。
また、薄型設計になっているので、色再現率や色ムラもでにくいです。
実は僕もこのNDフィルター(ND4・ND8・ND16)を愛用しており、いつもお世話になっています。
あまり高いNDフィルターは無理だけど、機能性の高いNDフィルターを使いたい人におすすめできます。
僕も使っています。
Kenko NDフィルター ZX シリーズ
高くても高性能なNDフィルターを使いたい人には、「Kenko NDフィルター ZX シリーズ」がおすすめです。
ZX シリーズは、KenkoのNDフィルターのなかでも高性能シリーズ。
4K・8K撮影に対応しており、重ねづけしても高画質で撮影できます。
また、レンズへのつけ外しがしやすいように、すべり止めがついているのも魅力ですね。
性能は抜群なので、KenkoのNDフィルターのなかで性能を重視するなら、Kenko ZX シリーズを検討してみてください。
ちょっと高いけど、高性能なのでおすすめです。
動画撮影時のNDフィルターに関するよくあるQ&A
NDフィルターを使ってみたいけど、使い方や選び方に不安がある人もいるでしょう。
ここでは、動画撮影時のNDフィルター利用についてよくあるQ&Aに回答します。
NDフィルターは、撮影頻度の高い撮影スポットや、時間帯、レンズなどで決めるのがおすすめです。
日中の太陽光が多い時間帯に、F値解放でよく撮影するなら濃いめのフィルター。
夕方や室内撮影が多いなら、薄めのNDフィルターを選ぶといいです。
ちなみに、僕が動画撮影用に1枚購入するならND8・ND16あたりを選びますね。
ND2・ND4はけっこう薄いので、ND8・ND16くらいあれば、NDフィルターの効果が分かりやすいです。
保護フィルターは外してから、NDフィルターをつけるのがおすすめです。
保護フィルターのうえからでも着用はできます。
ただ、フレアや四隅に黒い映り込みが入る可能性があるので、おすすめしません。
NDフィルターをつけるときは、NDフィルター単体で使うのが効果的です。
NDフィルターは重ねづけできます。
ND2+ND4=ND8
ND8+ND4=ND32
上記のように、重ねづけすることで濃さを調整できます。
ちなみに、NDフィルターを重ねづけするときは、濃い方を手前(1番)・薄い方を奥(2番)につけるのがポイントです。
そうすることで、フレアやゴーストといった映り込みを少なくできます。
動画撮影にはNDフィルターを活用しよう【まとめ】
今回は、動画撮影にNDフィルターが必要な理由や、おすすめのNDフィルターを紹介しました。
動画撮影でNDフィルターを利用することで、ボケ感を活かしたいつもと違う動画が撮影できます。
今回紹介したNDフィルターは使いやすいので、ぜひチェックしてくださいね!